練馬駅のホームから、こんな言葉が見えます。
「ありがとうを とどけます」
掲げられているのは、練馬区立南町小学校の校舎です。

私はこの学校の卒業生なので、昔から知っている言葉でした。
でも、大人になって改めて見ると気になりました。
なぜ「ありがとう」ではなく、「ありがとうを“とどけます”」なんだろう。
調べてみると、この短い言葉の向こうに、南町小学校と地域の30年以上にわたる物語がありました。
「ありがとうをとどけます」は開校40周年から
南町小学校は1952年(昭和27年)に開校しました。
そして開校40周年を迎えた1991年度、校舎の屋上に掲げられたのが、
「ありがとうをとどけます」
という言葉です。
つまり、この言葉は30年以上にわたってここにあり、今も練馬駅のホームから見ることができます。
子どもたちだけに向けた言葉ではありません。
結果として、駅を使う人や街を歩く人にも「ありがとう」を届け続けています。
南町小学校には「みかんの木」がある
そして、この言葉を調べていくと、もう一つの南町小学校のシンボルにつながりました。
みかんの木です。
開校30周年を記念して植えられたもので、校庭にはみかんの木があります。
子どもたちは実ったみかんを収穫し、袋に詰め、手紙を添え、お世話になっている地域の方々などへ届けてきました。
つまり南町小学校では、
「ありがとうをとどけます」
という言葉を掲げるだけではなく、本当に「ありがとう」を地域へ届けてきたのです。

私も、みかんを届けた一人でした
実は私も、南町小学校の卒業生です。
もちろん、このみかんの活動も経験しました。
今でも、ひとつだけ鮮明に覚えている光景があります。
台風が来た次の日のことです。
学校へ行くと、みんなで心配そうにみかんの木を見に行きました。
木は大丈夫かな。
みかんは落ちていないかな。
子どものころの私は、みかんの木がいつ植えられたのかも、「ありがとうをとどけます」という言葉にどんな歴史があるのかも知りませんでした。
ただ、みんなでみかんの木を大切にしていたことは覚えています。

大人になって、もう一度この言葉を見る
それから年月が経ちました。
今、練馬駅のホームに立つと、あのころと同じ校舎に大きな文字が見えます。
「ありがとうを とどけます」
子どものころは当たり前にそこにあった言葉。
大人になって調べてみて初めて、自分たちがみかんを収穫し、誰かへ届けていたことも、この言葉につながっていたのだと知りました。
学校の中から地域へ。
子どもから大人へ。
そして30年以上前から、今を生きる練馬の人たちへ。
「ありがとう」は、心の中で思うだけでは届きません。
言葉にする。手紙を書く。みかんを届ける。
誰かのところまで持っていって、初めて届く。
練馬駅で電車を待つことがあったら、ぜひ一度、南町小学校の方を見てみてください。
ずっとそこにあった何気ない景色が、少し違って見えるかもしれません。
「ありがとうを とどけます」
卒業して何年も経った今。
この言葉は、学校の外にいる私にも、ちゃんと届いていました。🍊



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